仏教文化資源研究会

Buddhist Cultural Resources Study Group

01 2016

文化資源としての仏教

「文化資源学(Cultural Resources Studies)」は、有形・無形の文化を「文化資源」として捉え、多角的に研究する学問領域である。従来の「文化遺産」や「文化財」といった価値規範にとらわれず、横断的な研究により、幅広い「文化資源」の保護・継承・活用を目的としている。文化資源学では、物質文化、身体的行為、文献資料など様々な文化を研究対象とすることで、現代の学問領域では細分化されすぎて学域を超えた研究が難しい、特定の研究を大きな体系のなかで位置づけることが可能となる。
本研究会では、こうした文化資源学の視点に基づき、仏教にまつわる様々な文化を「文化資源」と捉えなおし、その歴史と現状、将来的な可能性について、様々な観点から考えていく。
これまでの仏教に関連した研究は、経典や教義に関する文献学的・思想史的な研究や、アジアや日本の仏教史・仏教美術史などが中心となってきた。その蓄積は膨大だが、一方で既存の研究が対象としてこなかった仏教文化が、私たちの目の前には数多く存在する。それらは、おおよそ近代以降に誕生したため、主に前近代の仏教思想や文化に関心を集中させる多くの研究者たちの視野の外に置かれてきた。だが、仏教にまつわる文化を、既存の研究枠組みから自由になって見直したとき、私たちの生活にとってほんとうに重要なのは、そうしたこれまで取りこぼされてきた近代的な仏教文化なのではないだろうか。
本研究会は最新の仏教文化研究を学ぶと共にワークショップや連続講座を通して、誰もが参加できる学びの場を提供することである。
三井寺の蓮池  
01 2016
仏教文化資源研究会の基礎となる活動は、大正大学にほど近い東京都豊島区の西巣鴨の庚申塚商店街に位置する大正さろんで始まった。大正 さろんは、大正大学の教職員が地域住民とともに携わる NPO 法人(「NPO 法人でも くらしぃ」)が運営するコミュニティスペースで、大学生から地域の高齢者、特別 支援学級に通う児童・生徒たちやその保護者まで幅広い層の利用者が訪れていた。さらに、大正さろんでは、弓山達也教授が担当する大正大学大学院の宗教学の講義も行われていた。
講義の一環として、2012 年 5 月 27 日~28 日に大正さろんにて、「花まつり」が行われた。この花まつりは、講義受講者と地域住民、大正さろん利用者の協働に よって企画・運営された。2 日間にわたり法要と法話も実施され、のべ 50 名程の来場者が参加した。この、「花まつり」の参加者のアンケートから、地域住民の「お 坊さんともっと触れ合う機会がほしい」といった要望が浮かび上がった。
こうした住民の声を受け、講義では「大正大学のもつ仏教文化資源を、地域社会 にどう活用するか」という問いが出された。この問題に対するひとつの答えが、私たちの活動の主軸となるワークショップである。
01 2016

仏教文化研究会の構成

本研究会は大学院生とポスドクを中心とする流動的なメンバーで運営を行なっております。

顧問
 弓山達也(東京工業大学 教授)

事務局(らかん仏教文化講座担当)
 君島彩子(総合研究大学院大学)

事務局(豊島区生涯学習担当)
 河田純一(大正大学大学院)

講座運営協力
 碧海寿広(龍谷大学 アジア仏教研究センター 博士研究員)
 森覚(大正大学 非常勤講師)
 魚尾和瑛(大正大学大学院)
 武井謙悟(駒澤大学大学院)
 
2015年11月28日(土)に、としまコミュニティ大学の「未来の世代に種をまく講座を一緒につくろう企画」第一弾として、「にぎり仏教室」を開催いたしました。 

  実施日:2015年11月28日(土)9時半~12時 
  会 場:区民ひろば西巣鴨第一2階洋室 
  受講者:10人
 

これまで大正大学宗教学研究室では、「大正さろん」での活動を中心に「花まつり」や「にぎり仏教室」など地域の人たちが交流できる場を設けてきました。こうした活動を踏まえ、新たに豊島区とともに「世代を超えたメンバーで、自ら講座を企画することを通じて、最終的に地域活動の担い手をつくっていく」ための企画を始めることになりました。そこで第1回目は、開催地の巣鴨地域にちなみ、実際に「にぎり仏」を製作し、参加者の皆さまとともにワークショップの運営について考えました。 

「にぎり仏」とは、木粘土を使用して作る小さな仏像のことです。にぎり仏には、江戸時代の僧侶、円空の作風のように、簡単だけれども味わいがあり、型にはまらない魅力があります。こうした粘土でできた仏像の歴史や、にぎり仏をつくることの宗教・文化的な背景などを僧侶でもある院生が説明しました。そのうえで、仏像の中に入れる願文をそれぞれ書いていただき、製作に入りました。

 皆さん、ひさびさの粘土細工に悪戦苦闘しながらも、わいわいとお互い話しながら作業するうちに、徐々に形になっていきました。皆さんには事前に、自由な発想で造ってもらえるよう説明していましたが、結果として予想以上に思い思いの仏像が出来上がりました。かわいらしいお地蔵様だけではなく、なかには、猫のお地蔵様を作られた方もおられ、完成品を前に皆さん話に花を咲かせていました。

 最後に、参加者の皆さまから、これからのワークショップ運営についてご意見をいただきました。幅広い世代が参加できる時間帯や企画内容の工夫、大学生や留学生など地域社会のさまざまな人の参加を促すなど、多くのご意見をいただけました。特に、にぎり仏の製作は大変好評で、今回のように仏教文化に触れるというイベントを通じて、地域活動の担い手をつくりあげていく手ごたえを感じることができました。


「未来の世代に種をまく講座を一緒につくろう企画」は、来年以降も定期的開催する予定です。地域活動に興味のある学生や皆さまのご参加をお待ちしております。